一定温度で溶融している遷移金属中に炭素原子を溶解させた後、溶解した炭素を単層グラフェンとして低温で凝結させる方法である[36]。金属は、はじめに炭素源と接触した状態で溶融される。金属の溶融プロセスを行うためのグラファイトつるぼを、炭素源とすることができる。あるいは、単純にグラファイトの粉末や塊を溶融物に接触させてもよい。一定の温度で溶融物が炭素源に接触した状態を維持することで、金属-炭素の二元相図に基づき、溶融物中に炭素原子が溶解し、飽和が生じる。温度が下がると、溶融金属への炭素の溶解度は低下し、炭素の余剰量が溶融物の表面に凝結する。浮上した層はすくい取ったり、後で除去するために凍結させたりできる。

溶融ニッケルからのグラフェン成長 (Shaahin Amini et al., J. Appl. Phys.(2010) doi:10.1063/1.3498815)

厚膜のグラファイト、数層からなる多層グラフェン、単層グラフェンなど、異なる形態が金属基板上で観察されている。単層グラフェンはニッケル基板上で良好に成長していることがラマン分光によって確認された。単層グラフェンのラマンスペクトルの特徴はDバンドおよびD´バンドが存在しないことであり、これは単層グラフェンの無欠陥性と高品質性を示唆している。遷移金属の中で、ニッケルは、単層グラフェンの成長により適した基板として利用できる。ニッケルはラマン活性がないため、ニッケル表面上のグラフェン層のラマン分光は、直接観測することができる。グラフェン-金属複合体は、熱管理分野への応用として熱界面材料に利用できる可能性がある[36]

ニッケル基板上に形成された単層グラフェンのSEM画像とラマンスペクトル (Shaahin Amini et al., J. Appl. Phys.(2010) doi:10.1063/1.3498815)