2004年、マンチェスター大学のグループが、グラファイトを剥離して微小な薄片とすることによってグラフェンを作製することに成功した[6]。同グループの方法は、粘着テープを使ってグラファイトの結晶を繰り返し剥離することで薄片化していくというものだった。粘着テープに付着した光学的に透明な薄片をアセトン溶媒に溶かし、いくつかのステップを経ると、単層グラフェンを含んだ薄片がシリコン基板上に堆積した。1年後、研究チームは、この技術を簡素化することによって、ドライプロセスで成膜できるようにし、グラフェンが液中に浮遊する工程を省いた。この技術によって、比較的大きな結晶を得ることができるようになった。当初は数μm大のものしか作れなかったのが、技術の洗練により100μmオーダーで製造できるようになり、サンプルの商用販売も行われるようになった[7]

Geim と Novoselov らが作製したグラフェン薄片。(A)酸化シリコン基板上に形成した比較的大きな多層グラフェンの薄片。厚さは3nm程度。(B)サンプル(A)のグラフェンのエッジ部分のAFM像(2μm×2μm)。焦茶色部分がSiO2基板表面、オレンジ色は基板表面から3nm上方の像。(C)単層グラフェンのAFM像。焦茶色:SiO2基板表面、赤色:基板表面から0.8nm上方の像。黄褐色:同1.2nm、オレンジ色:同2.5nm。(D)数層のグラフェンを使って作製した実験用デバイスのSEM像と(E)デバイスの概略図 ( K. S. Novoselov1, A. K. Geim et al., “Electric Field Effect in Atomically Thin Carbon Films”. Science (2004) doi:10.1126/science.1102896)