米国カリフォルニア州のベンチャー企業 Graphene Technologies が、I族とII族の金属(マグネシウムなど)および炭素含有ガス(二酸化炭素など)の発熱燃焼反応によって、単層から数層のグラフェンを商用規模で生産可能な方法を開発している。同法によって作製されたグラフェン粉末は、非常に小さく、高純度という特徴を持つ[45]

北イリノイ大学の Narayan Hosmane らは、この方法でマグネシウム(Mg)と二酸化炭素(CO2)から数層のグラフェンを作製し、その材料特性をラマン分光、エネルギー分散型X線分析(EDS)、X線粉体回折(XRD)、透過電子顕微鏡(TEM)などの手法で分析している[145]。マグネシウムをCO2雰囲気中で燃焼させて炭素材料を得る場合の反応式は次のようになる。

CO2の固体ナノ構造への変換は、この研究で初めて報告された。MgとCO2からのグラフェン生成は、CO2捕集貯蔵技術(CCS)によって捕集したCO2の環境親和性の高い利用法として注目される。代表的な実験では、3gのマグネシウムリボンをドライアイス容器内で燃焼させた。CO2中でMgが完全燃焼した後に、黒色の生成物を集めて1M塩酸100mlの入ったビーカーに移送。室温下で一晩、生成物を酸性溶液中で撹拌し、MgOおよびMgの残留物を取り除いた。MgOとMgは、ともに塩酸と反応し、MgCl2を形成した。MgCl2は水溶性で容易に除去することができるので、高純度の炭素材料を生成物として得られた。こうして得た混合物のろ過と純水洗浄を数回繰り返し、ろ過された液体のpHが中性になったところで、分離された固体の炭素生成物を真空下・100℃で一晩乾燥させた。得られた最終生成物は680mg(収率92%)であった。この生成物を各種手法で分析した結果、10層以下のグラフェンが形成されていることが明らかになった。

MgとCO2の燃焼反応で得られた数層のグラフェンのTEM画像 (Hosmane et al., J. Mater. Chem. (2011) doi: 10.1039/C1JM11227A)