シリコンカーバイド(SiC)を1100℃以上に加熱することによってSiCを還元し、グラフェンを得る方法がある[8]。この方法によってエピタキシャル成長するグラフェンの寸法は、SiC基板の面積に依存する。シリコンまたは炭素を終端とするSiCの表面状態は、グラフェン形成に大きく影響し、膜厚、電子移動度、キャリア密度などの特性を左右する。

グラフェンの重要な特性の多くが、この方法によって作製されたグラフェンにおいて確認されている。例えば、グラフェンの電子的バンド構造(ディッラク・コーン構造)が最初に視覚化されたのは、この方法によるグラフェンである[9] [10] [11]。弱い非局在化が観測されているのは、ドローイング法ではなく、SiC基板上でのエピ成長法によるグラフェンである[12]。温度条件に依存しない高移動度が観測されているのも同法によるグラフェンである。最近では、転写されていない場合でも、SiC上のグラフェンが異常量子ホール効果のような質量のないディラック・フェルミオンの特性を示すことが分っている[13] [14] [15] [16] [17]

SiC上のエピ成長グラフェンは、標準的なマイクロエレクトロニクスの手法でパターン形成することができる。SiC-エピ・グラフェン上への電子デバイスの大規模集積の可能性は、2004年に初めて提起された[18]。また、グラフェンを利用したエレクトロニクスに関する米国特許は、2003年に仮出願され、2006年に認定されている[19]

2008年には、MIT リンカーン研究所が1チップ上に数百個のトランジスタを集積[20]。2009年には、ヒューズ研究所がSiC上の単層グラフェン上で高移動度トランジスタの形成に成功するなど [21] 目覚しい進歩が続いている。2011年には、エピ・グラフェンのバンドギャップをレーザービーム照射によって調整できることも報告されている[22]