グラフェンの電子的性質は、ほとんどの既存の3次元的材料とは異なっている。本質的には、グラフェンは半金属、あるいはバンドギャップがゼロの半導体である。グラフェンのバンド構造を理解するためには、まずグラフェンの電子的構造を理解する必要がある。

1947年の時点で、P. R. Wallace は、二次元的な六角形のブリュアンゾーンにおける6個の頂点付近で、低エネルギーでのE-k関係が直線的になることを理解していた[52]。ここから電子または正孔の有効質量がゼロになることが導かれた[53]

この低エネルギーでの直線的な(または円錐形の)分散関係により、6つの頂点付近での電子または正孔は、スピン1/2の粒子に関するディラック方程式で記述される相対論的粒子のように振舞う[54] [55]。このため、グラフェンにおける電子と正孔はディラック・フェルミオン、あるいは Graphinos と呼ばれることがある[56]。また、ブリュアンゾーンにおける6個の頂点は、ディラック・ポイントと呼ばれる[54]。ここでのE-k関係は、次の等式で記述される。

なお、フェルミ速度vF は、106 m/s 程度である。