グラフェンはこれまで試験された中で機械的強度が最も高い材料の1つである。破壊強度は鋼鉄の200倍あり、その引張係数は1TPa(15億ポンド・平方インチ)である[83]

宙吊り状態のグラフェンの画像。(A)1μm径と1.5μm径の孔の配列に渡されたグラフェン薄片のSEM像。領域 I では孔の一部、領域 II では孔全体がグラフェンで覆われている。領域 III は圧迫によってグラフェンが破けている。スケールバーは3μm。(B)1.5μm径の孔に張ったグラフェン膜のAFM像(非接触モード)。青色の実線は、点線部分の高さプロファイルを表す。膜のエッジ部分での段差高はおよそ2.5nm。(C)宙吊りグラフェンの圧迫試験の概略図。(D)破れたグラフェン膜のAFM像 (Changgu Lee et al., Science (2008) doi:10.1126/science.1157996)


(A)AFM探針先端の半径を16.5nm/27.5nmの2通りに分け、1μm径と1.5μm径の孔に張ったグラフェン膜をそれぞれAFMAFM探針で圧迫した。膜を破断する力の強さは、試料の口径ではなく、探針先端の半径に依存した。(B)2種類の探針先端における破断力のヒストグラムとガウス分布 (Changgu Lee et al., Science (2008) doi:10.1126/science.1157996)



浮遊グラフェン・シートのバネ定数は、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定されている。ファン・デル・ワールス力によって結合しているグラフェンシートをSiO2キャビティ上に浮遊させ、AFM探針によって力学特性の測定が行われた。バルクのグラファイトとは異なり、そのバネ定数は1~5 N/m 、ヤング率は0.5TPa となっている。これらの高い値によって、グラフェンは非常に強く硬いものとなる。このような固有の特性から、グラフェンを圧力センサや共振器のようなNEMSデバイスに応用できる可能性がある[84]