単層グラフェンは、体積に対する表面積の割合(比表面積)が 2630m2/g と極めて高いことから、キャパシタの導電プレートに応用できる可能性がある。

2008年には、テキサス大学オースティン校のグループが、グラフェンを用いたウルトラキャパシタを試作した。同グループは、化学修飾したグラフェン(CMG: chemically modified graphene)を開発した。水系電解液中で測定されたCMGのキャパシタンスは 135 F/g、有機電解液中では 99 F/g であった。また、広範囲の電圧掃引速度にわたって高い導電性が確認された[126]

グラフェン・ウルトラキャパシタのテストセル構造図 (NanoRodney S. Ruoff et al., Lett.(2008) doi:10.1021/nl802558y)



2011年5月、モナッシュ大学の Dan Li らが、グラフェンを湿ったゲル状に保つことで、膜のあいだに反発力を与えて再結合を防ぐことができると報告した[127]。グラフェンには、強度、化学的安定性、優れた電気伝導性、表面積の多さなど、優れた特性があるが、蓄電デバイスとして利用可能なマクロ構造体へとグラフェンを積層すると、各層が互いに結合し、グラファイトの状態に戻ってしまう。積層されたグラフェンでは表面領域がほとんど失われ、グラフェン的な挙動はなくなる。同研究は、グラファイトを含水させて分離されたグラフェンシートの優れた特性をバルク状態でも維持できるようにするもので、ウルトラキャパシタ用途などでのグラフェン実用化が期待できる[128]

グラフェンを二次電池の電極材料として利用する研究も行われている。2011年10月には、ノースウェスタン大学らのグループが、グラフェンを利用したリチウムイオン電池負極について報告している。充電容量が最大に保たれるようにシリコンを安定化するため、シリコンのクラスタをグラフェンシートでサンドイッチ状に挟む構造を採用した。これにより、グラフェンシートの柔軟性を利用してシリコンの体積変化を吸収しつつ、より多くのリチウム原子を収容できるようにした。また、化学的酸化プロセスを使ってグラフェンシートに極めて小さな孔(10~20nm)を開ける技術も開発した。この孔を通って、リチウムイオンが負極へ近道できるようになるため、充電にかかる時間を最大で10倍短縮できるようになった。実験では、可逆容量1100mAh/g@電流密度8A/g(8分間率放電)の電池性能を確認した。また、3200mAh/g@1A/gでは、150サイクルまでの容量維持率が99.9%となった[129] [130]

2012年8月、レンセラー工科大学のグループは、酸化グラフェンから作った「紙」をリチウムイオン電池の負極材として使うことで、電池の出力密度が大幅に向上したと報告した。グラフェンの紙に光を照射することで紙全体に無数の空隙を形成した。これにより、従来のグラファイト負極に比べて充放電速度が10倍高速化した。グラフェン負極を用いた場合、充放電レート40Cでの1000サイクル以上の充放電試験において、容量密度156mAh/g、出力密度10kW/kgの性能が安定して得られたという。グラファイト負極に比べてエネルギー密度を落とさずに高い出力密度を実現していることになり、急速充電可能な車載用リチウムイオン電池への応用が期待される[131] [132]

光熱作用で還元されたグラフェンのSEM像。層間にすきまが空いたグラフェンシートのネットワーク構造が形成され、リチウムイオンが効率よく出入りできる (出所:レンセラー工科大学)