カーボンナノチューブに水を流すと、水中のイオンとナノチューブ中の自由電荷が結合することにより、水流方向に誘導電圧が生じる。ただし、この誘導電圧は通常、数mVのオーダーしかなく、発電に利用するには小さすぎる。Nikhil Koratkar (2011) らは、モル濃度の異なる塩酸水溶液の水流に数層のグラフェンを浸す実験を行った。この実験では、グラフェンの場合、ナノチューブよりも大きな誘導電圧が生じることが確認された。0.6モル塩酸水溶液を流速0.01m/秒で流したときには、30×16μmサイズのグラフェンフィルムから85nW程度の電力が測定された。グラフェン面積1m2あたりに換算すると、175W程度の電力が得られたことになる。分子動力学シミュレーションからは、連続的なグラフェンフィルム表面に吸着した塩素イオンClの流動速度が電力の主な発生要因となっていることが示唆されている。[146]

実験の概略図 (Prashant Dhiman et al., Nano Lett. (2011) doi:10.1021/nl2011559)