2010年、南カリフォルニア大学のグループが、グラフェンを透明電極とする有機太陽電池セルを作製した。CVDによって成膜したグラフェンを透明基板に転写し、有機太陽電池のヘテロ接合において評価した。CVD成膜によるグラフェンは切れ目がないのが特徴で、表面粗さは0.9nm程度と小さく、透明度72%でのシート抵抗は230Ω/□まで低下した。このシート抵抗はグラフェン薄片が積層された場合と比べて大幅に低い。CVDグラフェン電極およびITO電極を備えた太陽電池セルをPET基板上に並べて作製し、変換効率を測定したところ、CVDグラフェンの場合1.18%、ITOの場合1.27%が確認された。さらに、CVDグラフェン太陽電池では、最大138°曲げても良好に動作することが実証された。一方、ITOを用いたデバイスは60°の曲げで割れて、回復不能な故障を示した。この結果から、CVDグラフェンがフレキシブル太陽電池として大きな可能性を持っていることが示唆される[121]

南カリフォルニア大学のCVDグラフェン太陽電池(Chongwu Zhou et al., ACS Nano (2010) doi:10.1021/nn901587x)



2011年8月、ケンブリッジ大学とマンチェスター大学のグループが、グラフェンと金属ナノ粒子を結合させたところ光電変換能力が20倍超の増加を示したと報告した[122]。グラフェン上に極微な金属構造(プラズモニック・ナノ構造)を配することによって、グラフェン上に生じる光電場を増強し、炭素原子1個の層の内部に光を効果的に集中させた。高速電子移動度というグラフェンのもう一つの特性が犠牲になることはないという。この構造を利用することで、グラフェン太陽電池の変換効率が向上する可能性がある[123]

2012年5月、フロリダ大学のグループが、イオン液体TFSA(ビストリフルオロメタンスルホンアミド)のドーピングによってグラフェン太陽電池の高効率化に成功したと報告した。それまで2.9%に止まっていたグラフェン太陽電池の変換効率が、8.6%に向上した[124] [125]