グラフェン・ナノリボン(GNR)は単層グラフェンが特定のパターンに切り取られたものであり、そのパターンによって、GNRに一定の電気的特性が付与される。未結合の端部(エッジ)がどのような配置を取るかによって、GNRがジグザグ型になるかアームチェア型になるかが決まる。タイトバインディングモデルに基づく計算から、ジグザグ型GNRは常に金属的になると予想される。一方、アームチェア型GNRは金属的にも半導体的にもなり得るとされ、どちらになるかはGNRの幅に依存する。

ただし、最近の密度汎関数理論計算では、アームチェア型GNRは、GNR幅の逆数に対応するエネルギーギャップを持った半導体になることが示されている[97]。実際に、GNR幅が狭くなるのに伴ってエネルギーギャップが増加することを示す実験結果もある[98]。しかしながら、2008年2月現在、GNRのバンドギャップを測定し、そのエッジ構造を精密に特定した実験結果はない。また、ジグザグ型GNRも半導体的になり、スピン偏極したエッジが見られる場合がある。

GNRは、その2次元構造、高い導電性と熱伝導性、低雑音といった特性から、集積回路の配線材料として銅の代替物となる可能性がある。リボン上の位置を選択してGNRの幅を変化させて量子閉じ込めを作りだすことによって、量子ドットを作製するという研究もある[99]。幅を制御されたGNRの大量作製は、nanotomy プロセス(ダイヤモンドエッジによるナノスケールでの切断技術)によって可能となっている[100]

形状制御されたグラフェン・ナノリボンのnanotomy による大量合成法 (Vikas Berry et al., Nature Communications (2012) doi:10.1038/ncomms1834)